五月人形。
おこしやす つらら庵 ♪
我が家は2人暮らしにしては決して狭くは無いと思う。さりとて広くも無いが。
一階は10畳くらいのリビングダイニング、隣には六畳間、2階は6畳間2部屋。
しかし、収納がやや乏しい。
その貧弱な収納に漏れた数々のもの達が、生活空間を圧迫する様になってきた。
それもこれも母のもの持ちの良さ(=ものへの執着)が招いた事だが。
ところで、日本の文化の中で、お雛様ほどわれわれの生活空間を脅かす物は無いと思われる。
昔の蔵付きのお屋敷とは訳が違い、現代の生活スタイル、住宅では七段かざりなんて収納するスペースがない。
さらに、365日収納の大部分を占拠しているにも関わらず、出すのはほんの一瞬。
さらにさらに、早く仕舞わないと行き遅れるだの、孫にどちらの親の祖父母が買うだの、処分するときはキチンとお焚き上げをしないといけないだの、正直雛人形が呼ぶ災いの方が多い気がする。
最近では両手で持てるほどの小さなミニチュア雛人形や、男雛と女雛のみ飾るご家庭も多いのだとか。
‥そりゃそうなるわな。
うちにもしょーちん。の母が持っている雛人形がある。
一応御付きのものも従えた完全なセットではあるが、いつぞやの引越しの際に飾り棚?だけは処分してしまった。なので、そこまで収納は圧迫しない。
ところが、男のしょーちん。も収納の厄介ものを持っている。五月人形だ。
雛人形ほどでは無いが、しょーちん。の母方の祖母が、可愛い孫の健康と武運を祈り、いいものを買ってくれた。
家にこのサイズのダンボールがAmazonから届いたなら思わず「でかっ!」と言ってしまいそうな一抱えもある大きなショーケースに兜と弓と脇差が鎮座している。
三菱の家紋みたいなゼンマイ式のひねりがショーケースの下についていて、回すと「こいのぼり」のメロディーがオルゴールで流れる。
正直、内容物よりもケースがデカイ。
我が家の貴重な押し入れの4分の1に鎮座ましましている。
幼い頃から時期が近づくと必ずダンボールから出して飾っていたのだが、そのあまりの大きさに今の宅に引っ越してからというもの、お目見えする事は無くなっていた。
これでは買ってくれた祖母も彼岸で悲しむというので、しょーちん。の母が大胆な策に打って出た。
その名も、「中身だけ出したったらええねん作戦」
お雛様も五月人形も、その物本体より棚やケースがデカイ。
しかもそれらは第ニ義的な物だ。すなわち不要である。
ファシズムの党首のような考えで、容赦なくこれら付属物を処分していくのであった。
‥しかも、その処分作業はしょーちん。に任すという、ここもファシズムの党首っぷり。
自らは手を下さない。(兜とか弓とかめっちゃ針金で固定してあって大変やったわよ)
晴れてコンパクトに我が五月人形は生まれ変わった。
こうして久々に見てみると曲りなりにも男なので、なんだか身体中の血が沸き立つようである。
‥今は背中の筋を痛めているし、しょーちん。は人の血を見ると意識が遠のくので戦には出れないが。
これを見ていると、幼い頃よく悪戯に回して遊んだ"こいのぼり"のオルゴールの、次第にゼンマイの力が落ちて悲しげに歌うのを止める旋律まで思いだす。
祖母はしょーちん。が6つの時に難病で若くして亡くなってしまった。
これは仮置き。
新しく小型のショーケースを買って納めるつもり。
‥本当は本来の漆塗りの立派なケースに入れた方が見栄えも良いし愛着も有るのだが、毎年出さないよりこちらの方がいいだろう。
武運とはかけ離れた貧弱引きこもりもやし男になってしまったが、お陰様で健康にこの歳まで過ごせている。
祖母に感謝して今年の5月5日はこの兜と久々に過ごそう。
また、おこしやす つらら庵 ♪
■ひとことコラム■
そういや五月人形っていつから出すんだべ?と思って検索かけたらサジェストに「五月人形 コンパクト」って出てきた。
みんな思う事は同じよ。デカイねんなんせ昔の飾り物って。
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