つらら庵日和

つらら庵日和。

つらら庵の職人 しょーちん。の日記。

MENU

お骨拾い。

 

おこしやす  つらら庵 ♪

 

私ごとですが、先日しょーちん。の祖父が逝去しました。

享年81歳。いわゆる孤独死です。

 

f:id:turara_an755:20210204182936j:image

 

今際の際の状況は今となっては知る術もありませんが、ベッドでではなく、いつも座っていたチェアからトイレに向かう動線上で仰向いて倒れていたのをヘルパーさんが発見したそうです。

 

突然襲いかかる苦しみから逃れようとして立ったのか、トイレに向かう最中に発作が襲ったのか、はたまた転んで起き上がれなくなり(祖父は十数年前から癌を患っており、実質骨と皮だけになっていた)、その場で息絶えたのか。

 

祖父の死は、娘であるしょーちん。ママから知らされました。

一応孤独死という事で警察が入る。

祖父と面会できるのは明後日で、その翌日には火葬である事も。

 

‥ここでは詳しくは書けませんが、物凄く複雑な事情があるために、葬式は一切なし。

安置所から出棺し、その後すぐ火葬の流れでした。本人の生前の意向でもありました。

 

あいにくしょーちん。は年に一度引くか引かないかの風邪を患っており、高熱でもあったために、実際片道2時間半掛かる祖父のいる大阪には行けないかと思った。この時節でもあるし。

 

‥以前このブログでも書いたと思うけど、しょーちん。と祖父とは確執があり、数年会っていなかった事もあって、最後だけは会っておきたかったのも事実でした。

果たして出発の日、折良く体調は改善したのでした。

 

眠る祖父の顔は心配していた苦痛の表情も無く、口は開いていたものの、寝ているような顔でした。

‥実際よく口開けて寝てたしな。

 

沖縄からも叔父夫婦が出てこれたし、最後は良かったんじゃないかな?

書かれへんけどほんまにほんまに色々あんねん。

 

この世の俗という俗を全て味わった様な祖父の人生。

あんな人でも仏になんねやろか?(笑)

 

まぁしかしなんですな。

火葬も無事終わり、お骨拾いの時。

 

しょーちん。にも色々と複雑な感情(きっと母や叔父も)が心中を去来してるやん。

そんな時でもやっぱり俗世の人間なんやなぁとおもた。

 

しょーちん。は皆んなに見られて何かをするのが大嫌い。

昔土木のアルバイトしてた時、紐の結び方を親方から教えてもらう時「ほら、もう覚えたやろ!見てたるからやってみぃ!」といわれた事が数度ある。

 

ごっつ嫌やってんあれ。

とにかく何かしてる時の手元を見られるのが嫌。

 

お骨拾いなんてめちゃくちゃ嫌なわけ。

しかも長い菜箸みたいなんで骨を摘まんなん。

‥めちゃくちゃ嫌やん。

 

厳かな顔して厳かな手袋した男の人が、焼きたての(パンみたいな言い方すな)祖父の骨を炉から引き出して言う。

 

「これから説明をさせて頂きます。

お身体の下の方から主要な部分の骨をこちらに(台を差しながら)お出しします。ご遺族様は順番にお骨を拾い、骨壷へ収めて頂きます。」

 

事情は省くが、遺族には4人組、もう1家族いた。喪主は向こうの家族。

順番に喪主からお骨を拾い、骨壷へ収めていく。

 

「こちらが喉仏様でございます」

 

‥何やら高級レストランのコース料理の説明みたく、余熱の残る祖父の骨が冷たい鉄の台に置かれていく。

 

「こちらが足の指でございます」

 

もはやここまで来ると僕は祖父への情や想いなんて一欠片もない。思うのはただ一つ。

 

「摘みやすい骨のやつこい!」

 

これで頭がいっぱいなわけです。

希望を言えば指類がいい。

箸置きみたいな形なのでめちゃくちゃ摘みやすそうなのです。

 

向こうの家族、そしてしょーちん。の家族。

順々にお骨を拾う。

一巡目は第一希望の指が来た!ホッと胸を撫でる。

 

隣の叔父の奥さんは大腿骨の一部やってんけど、なんかひねったような形でめちゃくちゃ摘みにくそう!厚みが薄すぎるのも嫌だ。

良かったぁ〜。自分じゃなくて。

 

次のしょーちん。の番。

上顎。

‥楕円でちょい摘みにくい。

落としたらどうしよう。ドキドキ。

 

やや震える手で無事に粗相なく骨壷へ。

良かった。

 

こうして、本当に最低限の法要を終えて無事にホテルへ帰る。

 

 

後でしょーちん。ママにホテルで聞いてん。

 

「なぁなぁ、あのお骨拾いん時。正直な話摘みやすいの来い!思わんかった?」

 

「そうそう!めっちゃおもた!だって、どこやっけあれ?めちゃくちゃ摘みにくそうなんあったやん!あれ来たら嫌やなぁ〜とおもてた!」

 

 

‥そやけど人間ちゅーのはアホやな。

そんな時でもそんなどーでもええ事考えるんやな。

 

なんの因果か、祖父の五体が入った骨壷は、今我が家にある。

その後、どこにどう落ち着くかはまだ決まっていない。

 

しょーちん。もいつかは摘みにくい骨を嫌やなぁと思われながら拾われる日が来るんやろう。

 

 

 

‥てか、拾てくれる人あるんかいな。

 

何はともあれ、色々あったろうけどお疲れ様でした。

あの世ではほんまに大人しくすんねんで。

ー合掌ー

 

 

また、おこしやす  つらら庵 ♪