硯はロマンである。
おこしやす つらら庵 ♪
最近、何かに取り憑かれているのではと思うほど、ある物を愛でておる。
‥しかも、飛びっきり汚い子がお好み。
色々なところから、格安でガラクタのような硯(すずり)を買ってくる。
もちろん格安なので8割が出来損ないの悪い硯。
でも、そんなんどうでもええねん。
硯は毎回作品に使ったら、洗って仕舞うのが鉄則。
しかし、何年もの墨がこびりついた硯のなんと多いことか。
書道の先生でも硯は洗わなくていいと言い切る方もいらっしゃるようで、変な世界だ。
そんな事ない。硯は洗わないと目が詰まってしまって、プラスチックの下敷きの上で墨を磨ってるのと変わらないので、必ず洗ってください。
でも、僕に仕事残しておいてくれるなら洗わないで。(笑)
とにかく、買ってきた硯は全てぬるま湯に浸けて数時間墨をふやかします。でないとガッチガチで取れない。
硯の構造を簡単に説明すると、超マイクロおろし金です。
鋒鋩(ほうぼう)と呼ばれる無数の石の層が墨をおろしていきます。
しょーちん。秘伝の方法で、丁寧に硯の面を何段階かに工程を分けて研ぎ出していきます。
はぁ、落ち着く。癒しだ。
あのゲトゲト、真っ黒だった硯ちゃんのスッピンがコチラだ。
どやさ。見違えるようやろ?
ちなみにこの硯は形からしておそらく古端渓。
古い中国の硯は、墨を磨る陸(おか)と海とに仕切りがあるのが特徴。
使いにくい(笑)でもこの形好き。
何十年、もしくは100年単位の古い硯。
どんな人が何のためにこの硯を使っていたのか。
考えるだけでロマンちゃう??
このように、すずりには石紋と呼ばれる石の層があります。
この石紋が癖もんで(こう言うのをダジャレ事故という。‥けっして他意はないのだ。)、この紋は磨墨(墨が気持ちよく磨れる事)に貢献する物と邪魔をする物がある。
しかし!磨墨の邪魔になっても、その紋が美しければその硯の価値は上がる。
そう、硯には実質、実用と鑑賞用、或いは兼用があるのや。
鑑賞用は、良い墨は作らないが、見ていて美しいという物である。
しょーちん。には水墨に使えてこそ硯の価値なので、鑑賞用の紋には興味はそこまでない。
でも、
この子は数日前に手に入れた別の硯。
この子はそこまで元から汚れてはいなかったんやけど、時間を掛けて研ぎ出してみると、、、
まるで宇宙の様な石紋があらわに。
写真では伝わらないけど、凄くキラキラしてるのよ。めっちゃ綺麗で、石紋に心奪われる一度も実用しない硯の蒐集家が居るのも少し肯ける。
しかも、凄くツルツルなのに墨の下りが凄い。
しょーちん。は全く硯に関しての知識は持ち合わせてないんやけど、だからこそ直感で肌に合うと思った物を愛でれる。これに世間的な価値が無くても別にええねん。楽しい。
最近は夜な夜な硯研いで、墨を磨って試し描きをするのが日課。
‥いやいや、試し描くな。そろそろちゃんと描け。
と、言うわけでもう硯買うのやめ!
見に行かない!見たら買うんやから!
‥最後にもっかい覗こうかな。。(笑)
また、おこしやす つらら庵 ♪
■ひとことコラム■
でもね、硯は本当に奥が深くて、墨との相性や、作家の作風にも影響する。
色まで変わるんだとか。わかんねーわ硯は。
わかんないから次買ってまうんやろなぁ。。
◯本日の猫◯