【保存版】水彩画での水面の描き方。〜縦と横で描く初心者でも簡単な方法♪〜
おこしやす つらら庵 ♪
今日はね、水彩画の描き方を文章にまとめてみました!
その名も‥
"縦と横"で描く水面!
(※動画版は記事最後のURLから!)
なんのこっちゃ?でしょ。
しょーちん。、日本画家だけど元々水彩画から絵の世界に入りました。
もちろん独学なんですけど、数々の水彩技法の中から、特に役立った技法です。
水彩画での楽しみの一つは野外スケッチ。
これから暖かくなるし、スケッチブック片手に散歩するのも良いものです。
ただ、
「風景を描くのは好きだけど、水面や川、海を描くのはどうも‥」
って方が本当に多い!
水は流動体で形のない物なので、確かに難しいのですが、今回のこの方法を使えばあらゆる水面表現が可能です♪
①木立を鉛筆で描く
水彩画の描き方は色々ありますが、ポピュラーなのはやはり鉛筆でまずラフを描いてから、輪郭を形取っていく方法でしょう。
水際の木立を投影する、やや静かな湖面を描いていきます。
水を描くって言っても、実際には水は無色透明。
なので、水というよりは水面に投影しているものをうまく描ければ自然と水面になるんです。
だから、水を描こう水を描こうと焦らず、まずは外堀を固めるように、水の周りにある確かな形を持った木や建物を正確に描きましょう。
作例では木立それぞれを一つのまとまりに見えないよう、それぞれの木に個性を持たせて"ブロッコリー描き"をしていってます。
葉をブロックに見立てて区切っていく方法です。
②グリザイユ着彩で木立に色を塗る
以前このブログでもご紹介した、陰(影)を先に付けていく、グリザイユ画法で着彩して行きます。
(※グリザイユ画法のYouTube過去動画はコチラ→https://youtu.be/rwfBwfD-mIM)
(※過去記事はこちら↓)
こうすることにより、後から葉の色を塗り重ねるだけで簡単に立体感が付き、陰も浮き上がったようにならず自然な着彩ができます。
ここまで描けたらほぼできたようなもんです(笑)
「まだ主役の水描いてないじゃないか!」
と言われそうですが、そうなんです。
水の周りさえ正確に描ければ8割方完成みたいなもんです。
水はあくまで周りの物を投影している透明な物体。
正確な周囲の環境の描写が整って初めて水も生きてきます。
③"縦"を意識して投影をぼかしで描く
それでは肝心の水面をやっと描いて行きます。
ここでやってはいけない事が一つあります。
それは、いきなり水色で水面全体を均一に塗ること。
初心者さんがよくやりがちな失敗です。
これをしてしまうとテニスコートや体育館のツルツルした床面に見えてしまいます(笑)
焦らない焦らない。
まず、水面を描こうとしているところに、水を適量含ませたコットンで満遍なくスケッチブックを湿らせます。
水が泳ぐようではダメだし、かすれるようではダメだし‥。
スケッチブックがしっとりとやや艶めくくらいの濡れ加減を意識します。
文章難しいね!(笑)
ここから少し作業をテキパキしていくよ!
乾く前にしないといけないので、あまりもたもたはできません。
投影した木のシルエットを、木と同じ色で塗っていきます。
ちょうど上下反転した形が鏡のように写ります。機会が有れば実際の風景をよく観察して見てください♪
さて、ここからは肝心の"縦"を意識!
どういうことかというと、水面に物が投影すると写っている実物の木よりも多少伸び上がって見えます。縦に長くなるんですね。
その感じを出す為に、先程のコットンに、今度は少し多い目の水を含ませて、作例で言えば下に下にぼかしていきます。
ね。ビヨーンと縦に少し伸びたシルエット。
投影もちゃんと木の陰影が写っているので、陰をうるさくならないように付けてあげてね。
主張しすぎないよう、うまくコットンでぼかしながら。
この最初に描く投影の"ぼかし"が水面をうまく描くコツです。
④横のタッチを重ね塗りして揺らぎを
さてさて、水面が難しいのには理由があります。
それは、表情が豊かすぎるからです。
例えば、稀にですが無風の時の水面は本当に鏡のように周囲を映し出すし、少し風が吹けば、写った投影はゆらゆらと左右に揺られ、さらに強く風が吹けば投影は散り散りに分解する。
さらにさらに、時化の海は小さな三角の波動が沢山立つし、川は、川底の隆起を反映してねじれたような水紋を描く。
その多様さ故に難しいのです。
でも、基本は同じです。
今度は丸筆を平筆に持ち替えて、すーっと左右に腕全体を使って息の長いストロークをしてみます。
奥はなるべく細い線。
手前にくればくるほど線の幅を太くします。
これは、さざ波にも遠近法が付くからです。
作例では少し微風があって、やや揺らめいている水面を描いていきます。
大抵水面は少しだけ波立っている事が多いです。
先程の絵に、練習したストロークを重ねます。
透明水彩絵の具は、上から色を重ねても下の色を殺しません。
縦を意識した先程の投影に、今度は横を意識したストロークを重ねることによって立体感が生まれます。
因みにこれは好みですが、先程の投影はぼかしでボンヤリと描いたので、今度の横のストロークはぼかさずに乾いた状態でくっきりと波を描きました。
もっとふわぁ〜っとした表現が好きな方は、この横のストロークの時もコットンでやや湿らせてから柔らかく表現して見てもいいかも!
手前にくればくるほど線の幅は太くします。
これで水面にも遠近感が付きます。
⑤仕上げ
横のストロークが描けたら、今度はもう少し水面全体の一体感を出す為に、ここで初めて水面全体をベタ塗りします。
ベタ塗りといっても、本当に極々薄い色です。
水の色についてですが、これも難しいんです。
いわゆる皆さんが思い描いている"水色"は大抵の風景スケッチでそのまま使えません。
なぜなら、水は水色でない事の方が多いからです(笑)
哲学的な話みたいになってきましたが、何故皆さんが水色だと思っている色が水色として伝承されてきたのか。
水は本来無色透明です。
太平洋のように、何千メートル級の深い海なら光の屈折で綺麗なオーシャンブルーになる事はあっても、日本の湖が綺麗に水色になる事は少ないです。
水が水色に見えるのは、多くは空の色を反映しているからです。
もちろん綺麗に空を反映して水色に見える事もありますが、ここでは先入観に囚われずにありのままの水の色を観察してみましょう。
果たして水色でしょうか??
今回の作例では、周りの木々の色、そしてやや曇りのグレー調の空を反映しているので、グレー寄りの水色にやや緑を加えました。
色も言葉にするのは難しいです。(笑)
1番はありのままに物を見る事です。
指で"OK"のサインを作って、その親指と人差し指で囲った狭い範囲だけの色を見るのもありですよ。周りの環境による先入観から切り離した、純粋な対象の色を見やすいです。
はい!こうして縦のぼかしプラス横のストロークで水面が描けました!
お疲れ様です。(^^)
これは基本となる水面の描き方ですが、これを応用すれば色々な水面が描けると思います。
うねるような川も、基本は一緒。
1番やってはいけない事は、水面全体を最初にベタ塗りする事。
これだけはタブーとして覚えておいてください♪
それでは今回は水彩による水面の描き方でした!
水が描けるようになればスケッチも数倍楽しくなるので、是非是非練習してみて下さい。
また、おこしやす つらら庵 ♪
■つらら庵YouTube便り
コチラから→https://youtu.be/K2MOm71spDI
今回の記事の動画版です!
文面では伝えきれなかった事など、動画にまとめてみました。
良ければ見て下さいね♪