日本画 骨描き(こつがき)の方法。 ~墨の濃さを決める時のポイント~
おこしやす つらら庵 ♪
昨日お墓参りに行った際、墓の近くで見つけた花。
ホタルブクロです。
蛍が出る時期になると咲き出す花。
その名の通り、花が袋状になっているので、花の中に捕まえた蛍を入れると綺麗な提灯になります♪
昔の人は粋な事を考えるもんやねぇ。
うつむいて咲くので、いかにも控えめな日本人を思わすあたりがしょーちん。のお気に入りポイント!(^^)
蛍もそろそろ出てるようなので、今年は見たいなぁ。
独りでやけど……( 一一)
さて、この間下書きの転写を終えた桜の日本画。
(2020年4月追記)
YouTubeにて、今回の骨描きの方法を動画で説明しております♪
本記事と併せてご覧頂くと、より理解を深めていただけます♪(^^)
コチラから→https://youtu.be/XehLpI_1QFk
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このままでは線が不明瞭な上、ちょっと擦っただけでも消えてしまいます。
線が消えないように、墨を使ってしっかりとした線を書く事を日本画では骨描き(こつがき)といいます。
現代ではあまり見られなくなった方法、彫り塗り(線の上に絵の具を掛けず、最後まで線を残しながら描く方法)では、この骨描きが最後まで残るので、とても大切な作業です。
線を最終的に絵の具で塗りつぶしてしまう場合でも、この線がふにゃふにゃしていると上に塗られた絵の具も不明瞭になります。
”ガタガタの基礎の上に、いくらいい家を建てても住めない”
日本画では骨描きが建築で言う所の基礎に当たるのでしっかり描きましょう!
まず、墨をすります。
墨汁は使いません。必ずすった物を使ってください。
理由は、墨汁だと濃度の加減難かしい上に、乾いた後でも滲む可能性があるからです。
固形墨を両脇から二本の指でしっかりと押さえ、ゆっくりとすります。
”墨は病婦に摺らすが善き” と言う言葉が有ります。
病を得た女性ほどの弱い力で摺れという事です。
このように墨にトロミがついて、すっている硯の面が見えてきたら墨が濃くなってきた証拠です。
因みに、薄い墨し使う予定が無い時であっても必ず、濃くすった物を薄めて淡墨を作りましょう。
そうしないと、墨の粒子が安定せず塗ったときムラになってしまいます。
濃くすった墨に水を入れて適宜薄めます。
ここで今日の骨描きのポイント♪
「墨の濃さはどのように決定するか」です。
これには二つポイントが有ります。
1・作風
2・下地処理の順
です。
まず、作風によって濃さは変わります。
竹内栖鳳、西村五雲のような上方風の薄塗りタイプの描き方の人はあまり濃くすると仕上がりの絵に最後まで響きます。
逆に、平山郁夫、東山魁夷のような、厚塗りタイプの描き方の人は、骨描きの線も濃ゆくしておかないと、絵の具を塗っている最中に線が隠れて見えなくなってしまいます。
自分の作風を考えて見ましょう。
次に、下地処理の順番です。
絵具の定着を良くする為ですね。
この下地処理をどの段階から始めるかで骨描きの濃さを変える必要が有ります。
下地を塗る前、言わば和紙をパネルに貼った直後に骨描きする場合は少し濃い目に描きます。先ほどと似た理由で、下地を塗り終わった段階でも線を見やすくする為です。
下地を施し終わった段階で骨描きをする場合は気持ち墨を薄くします。
しょーちん。は薄塗派で且つ、下地前に骨描きをしますので少し墨の調整が難しいのですが、やはり下地に負けないように濃い目に墨を作ります。
難しい方は絵の鉄則、取り敢えず薄くで行きましょう!
うすけりゃ後で濃くすればいいけど逆は無理やからね~。。(;^_^A
墨が用意出来たら、下図の元になったスケッチブックと下図を見やすい所に置きます。
自分の描きやすい所から描きます。
描き順みたいなものは有りませんが、利き手からして奥から描いて行った方が、手で描いた所を汚してしまう心配が有りません。
ブロックごとに描き進めます。
手の汚れが和紙に付かないようにしょーちん。はティッシュを一枚敷いています。
骨描きは下書き。
絵具を塗るとほとんどが塗りつぶされるのですが、この骨描きがいじけた線だと良い絵にはなりません。
速水御舟、小林古径、上村松園などの巨匠は骨描きの段階から超真剣です!
只の”線なぞり”に堕する事無く、常に”描いている”という意識をもって厳しく描きます。
線は抑揚(細い太い)を付けない、針金のように無表情な線で描きます。
東洋画では鉄線描法と言います。
手首を和紙の上に固定してスライドさせるように描いて行くと細く均一な線が描けますよ♪
骨描きが進むにつれて、絵の内容も確固としたものになってきます。
矛盾しているようですが、転写した線にあまり拘らないで、”新しく描く”感覚が大事です。
しょーちん。もスケッチブックを見ながらところどころ線を変えていますし、雄蕊の部分も、あとで感覚的に絵の具で描いた方が重くならずに済むように思ったので骨描きはしませんでした。
完成!!
この上から下地の絵の具を塗ります。
絵具に骨描きが隠れて柔らかくなる感じが好きなので、しょーちん。はほとんどこの順序と濃さでやっています。
描き方によって工夫が必要なので、皆さんもご自分に合った方法を研究して下さいね!( ˘ω˘)
次回からいよいよ色を塗ります♪
ねっ?日本画って面倒くさいでしょ??
よっぽど日本画に魅力を感じてないと無理でしょうね。(笑)
それではこのへんで~。(*''▽'')
また、おこしやす つらら庵 ♪
〇今日の水墨DEアニメ〇
骨描きが活かされた模写です。(笑)