つらら庵日和

つらら庵日和。

つらら庵の職人 しょーちん。の日記。

MENU

燃えるような恋がお好み?ふふ、では燃やして差し上げましょう。~小林古径の清姫~

 

おこしやす つらら庵 ♪

 

皆さん、燃えるような恋をしたことはありますか?

もしくは、したいとは思いませんか??

 

愛する人と会える。

その一瞬、ただそれだけの為に全てを犠牲にしてもかまわないと思えるような…。

…しょーちん。はしてみたいぞっ!(。-`ω-)

 

でもね、燃えるような恋もちょっと考え物なんではないか??

ある画家の作品を見てそう思うのです。

 

https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/b/bd/Kobayashi_Kokei_photographed_by_Shigeru_Tamura.jpg/1200px-Kobayashi_Kokei_photographed_by_Shigeru_Tamura.jpg

 

画家の名は小林古径

 

新古典主義の代表的な日本画家です。

しょーちん。も大好きな画家ですので、人物についても色々と語りたいことが山ほどあるのですが、今日は本題とは少し逸れるので割愛します。

 

小林古径の作品の特徴としてよく挙げられるのは非情、厳粛、静謐、敬虔、、、、。

熟語を並べればこんな感じかな。

とにかく静かで厳しい画風の画家です。

 

でも、今日ご紹介する作品は、古径の作中でも珍しく情感たっぷりの作品となっております。

 

作品名は「清姫」。

 

道成寺と言えばお分かりの方も多いですかね。

歌舞伎や能等に良く取り上げられる悲恋物語です。

この道成寺を下敷きに生まれた作品が、古径の清姫なのです。

 

 

それでは、しょーちん。所蔵の画集をカメラで撮った画像なので少しお見苦しいですが、絵と共に凡そのあらすじを追ってみましょう。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

ある所に、行脚修行の旅をする眉目秀麗、うら若き僧侶安珍がおりました。

旅の途中、疲れた足を休める為にとある家に一夜だけ泊めてもらいます。

 

f:id:turara_an755:20180209220700j:plain

 

すると、そのお家の姫さん(清姫)、安珍のあまりの美しい寝顔に心を奪われてしまいます。

 

…しかし、この図怖すぎるやろ。。(笑)

清姫のその伸ばされた腕に、一瞬の恋に燃えた思いの強さが表れていますね。

 

しかし、明くる日、清姫の一方ならぬ思いを察した安珍は、朝早くに逃げるようにこの家を去ります。

色恋は修行の邪魔にしかならないとでも言うように。

 

f:id:turara_an755:20180209221221j:plain

 

愛する安珍の不在に気付いた清姫

安珍を追って十重二十重、山あり谷ありの道を駆けます。

 

f:id:turara_an755:20180209221449j:plain

 

髪も振り乱して飛んでるでぇ!おい!!( ゚Д゚)(笑)

 

実はこの、山の上はるか上空を飛んでる様は古径独自の表現。

長い長い山や谷を超えてゆく情景を、どうすれば絵巻中の一画面に表せるか。

考えあぐねたその結果、飛ばせばいいじゃんと。(笑)

 

非情の画家古径にしては珍しく、女の情念が表された”動”の一場面です。

 

f:id:turara_an755:20180209222027j:plain

 

安珍も逃げるんに必死ですわ。

何がこの世で一番怖いかって、汗だくで髪振り乱して追っかけてくる女ほど怖いものないもんな。

真顔で。(笑)

 

案外モテ男も辛いかもよ。

 

f:id:turara_an755:20180209222242j:plain

 

見てこの嫌そうな顔。

 

どこまでも追ってくる清姫を撒こうと、安珍は船で大きな川を渡り、対岸のお寺に匿って貰います。

その寺こそが、能の題名にもなっている「道成寺」です。

 

そして道成寺の大きな釣鐘の中に隠れてしまいます。

安珍は閉所恐怖症ではなかったんやろな。

 

f:id:turara_an755:20180209222602j:plain

 

安珍を必死で追いかけてきた清姫

しかし、この大きな”日高川”に阻まれます。

諦めきれない清姫安珍に対する愛はやがて憎悪、執念に変わり、可愛さ余って憎さ百倍、生きながらにして執念の化身・大蛇に変わり、川を渡ってなおも安珍を追います。

 

恐ろしや女の執念。

 

f:id:turara_an755:20180209223036j:plain

 

どうせ叶わぬ恋ならいっそ私と共に燃え尽きましょう…。

 

大蛇に化身した清姫は、その口から灼熱の火炎を吐き、釣鐘の中に隠れた安珍、そして我が身ごと焼き尽くしてしまいました。

 

f:id:turara_an755:20180209223315j:plain

 

濃墨の煙、そして朱く燃え盛る火炎の表現が秀逸です。

清姫の執念の炎は凄まじく、寺を全焼、周囲は跡形もなく燃やし尽くされました。

 

しかし、その悲劇の地に一本の桜が。。

 

f:id:turara_an755:20180209223659j:plain

 

これが和歌山県日高町道成寺にある入相桜(いりあいざくら)です。

安珍清姫、生前叶わぬ恋に終わりましたが、一本の入相い桜となって生まれ変わり、一つになったと言い伝えられています。

 

いやいや、安珍にしたら死後も離れられんて、地獄やの~おい。(笑)

 

 

そうなんです、道成寺という寺は実在の寺なのです。

今でも清姫伝説はその土地では有名なんですよ。

 

もちろん入相桜も実在します。

 

http://blog-imgs-67.fc2.com/p/r/e/presentnao/2014040315122152f.jpg

出典:http://blog-imgs-67.fc2.com/p/r/e/presentnao/2014040315122152f.jpg

 

たしかになんか二つに分かれた枝が二人を表しているようですね!

皆さんも実物を見る機会があれば、どっちの枝が安珍でどっちが清姫かなんて暫し考えて遊んでみては??(笑)

 

f:id:turara_an755:20180209224428j:plain

 

因みにしょーちん。はこの古径の入相桜、日本絵画、いや、世界でもっとも美しい桜の絵だと思っています。

桜って意外と絵にならないと思っているのですが、見事に桜の気品、匂いを描き切っています。

恋物語の下敷きが有るから余計にその悲しさが美しく見えるような気もして…。

 

実はこの物語と桜、以前にもブログでご紹介したんですけどね。

 

 

turara-an755.hatenablog.com

 

いやぁ、何はともあれ、女の子にモテるのはほどほどにしたいもんやね。

えっ?お前は心配ないやろって??

…はい、せいぜい家の火の後始末による火事には気を付けます( ̄▽ ̄;)

 

それではこの辺りで!

今日も一日ありがとうございました~☆

 

 

 

また、おこしやす つらら庵 ♪

 

昨日の答え合わせにゃ!分かったかにゃ??(=^・・^=)

f:id:turara_an755:20180209225347j:plain

 

今日の問題にゃ!これは難しいぞ~、にゃ。。

f:id:turara_an755:20180209225428j:plain