つらら庵日和

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つらら庵の職人 しょーちん。の日記。

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健剛なる芸術の進軍 ~画人・川端龍子の生涯~ ・序章

 

おこしやす つらら庵 ♪

 

 

 

” 父は自殺でした…。”

 

 

 

その画家の愛娘、紀美子さんは後年こう漏らした。

娘だけではない。その画家の門人たちも口を揃えて先生は自殺だったと言う・・・。

 

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出典:http://livedoor.blogimg.jp/otakarajoho/imgs/b/f/bff35da2.jpg

 

画家の名は川端龍子

 

在野の美術団体、青龍社を立ち上げ、世間一般に対し、

 

”健剛なる芸術の進軍”

 

を標榜し、命の尽きるまでその命を筆一管に託した画家である。

 

しょーちん。は個人的には1、2を争うほど好きな画家です。

永い間書きたかった記事なのですが、何回かに渡ってこの画家を取り上げてみようとやっと重い腰を上げました。

 

”龍子の前に龍子なし、龍子の後に龍子なし”

 

こうも評された異端の日本画家、川端龍子

今回はその覇気に溢れた生涯をたどる前に、少しだけその作品をお見せするだけに留めましょう。

 

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出典:https://pbs.twimg.com/media/Cl2PAXXUkAEAWiY.jpg

香炉峰

 

広大な連山の上空を旋回する軍用機を画面いっぱいに描いたこの作品。

龍子らしいダイナミックな絵ですが、どこか様子がおかしいぞ?

 

なんと、機体がスケスケなのであります。

おそらく、軍用機で広大な山々を隠したくなかったのでしょう。

型破りの龍子にしかなせない発想。

しかも、この作品は横幅7メートル越え。

 

龍子といえばスケールの大きい作風で知られているのですが、単純にその絵のサイズも破格なのです。

 

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出典:https://intojapanwaraku.com/wp-content/uploads/2017/04/69b062298d05c61bd96044598f624b37.jpg

「草の実」

 

なんと、こちらは濃紺の地に金の濃淡のみを使い、夏に鬱蒼と茂る雑草を作品にしています。

金は日本画ではよく用いられるのですが、金だけで描かれた日本画と言うのは龍子が初めて描いたと言えるでしょう。

写経・写仏の世界ではこうして紺地に金泥を使って描く方法があります。

それを日本画に応用した所に龍子の類まれなセンスが見て取れます。

 

しかも描かれたそれらは、高価な金で描写するにはもったいないような、どこにでも生えている雑草。

そういうところも憎いぜ龍子先生。

 

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出典:https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/36/96/59c6b40a552c96d6948ad0adfcdeae7b.jpg

「南飛図」

 

数羽の雁が南方目指して飛んでゆきます。

上空には月が・・・

 

??

 

雁を眺めている視点は真上からの俯瞰構図。

しかし、月は雁の下に有ります。

 

絶対にこの世にはあり得ない構図は龍子さんのミスか??

これでは雁が一斉に墜落しているように見えてしまいます。

 

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これは龍子よりも大分昔の画家の手になる作品です。

これも何か変では無いですか?

 

そう、菊の花が全て正面のこちらを向いているのです。

実際の菊を見るとこんな風には見えません。横向き、後ろ向き、色々有るはずです。

この描法は琳派(りんぱ)とよばれる、我が国の伝統的な装飾画法なのです。

 

先ほどの龍子の作品もこの琳派を踏襲しています。

雁を真上から見た視点に月も入れて夜の飛行をより具体的かつ装飾的に表現しているのです。

西洋画ではパース(遠近法)による画面の整合性が絵画史において重要視されてきましたが、我が国日本の伝統では画面の整合性よりも装飾性により重きを置いてきた

我流奔放に見える龍子も、実は深く我が国の伝統を学び、そして正統に次代へ継承しようとしていたのです。

 

いかがでしたか?

ちょっとは龍子の事を理解できるプロローグになったでしょうか(^-^)

次回からは龍子の人生と共に、その斬新な作品の世界観をご紹介できればと思っています。

よければまたみて下さい♪

 

それでは今日はこの辺りで。

今日も一日ありがとうございました~☆

 

 

また、おこしやす つらら庵 ♪