つらら庵日和

つらら庵日和。

つらら庵の職人 しょーちん。の日記。

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火の玉女子。宇野千代は悪女か?

 

おこしやす つらら庵 ♪

 

世の中には、世間的に不貞を働いているのに何故か人々に愛され、ともするとその生き方が評価されるような人が稀にいます。

 

今はスキャンダルブームと言いましょうか、著名人有名人の不倫、浮気、黒い交際等がほぼ毎日の様に報じられています。

そして、その槍玉に揚げられているいる人はどこか無残で、更に非難を浴びせたくなるような顔つきをしているように見えます。

 

このような人々と、先に揚げた、世間的に不貞を犯しておきながらも愛される人とはどこがどう違うのでしょう?

 

しょーちん。はね、ある女性にヒントが有るのではないかなぁと思うのです。

 

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出典:http://morii-web.co.jp/uc%20photo.jpg

 

作家、宇野千代です。

 

1897年に山口県で生まれ、1996年に死去。

99才ですよ!

晩年には、「私はね、なんだか死なない様な気がするんですよ」と語ったらしいです。

 

なぜこの宇野千代を紹介しようと思ったかと言うと、もうね、ポジティブ過ぎんねんこの人。

もちろん宇野千代は代表作「おはん」に始まり、「色ざんげ」など数々の傑作を生みだした作家ですが、実生活では決して褒められたような生き方をした訳ではありません。

 

ただ、一瞬一瞬を楽しみ、火の玉の様に生きた。

 

この力強さは、しょーちん。を始めとする平成生まれの人々に必要な力じゃないかなぁと思います。

数々の恋愛遍歴なしに彼女は語れませんが、まずその生い立ちから…

 

宇野千代は物心つく前に生母を亡くし、放蕩癖の有る父と(千代曰く、小説の中にしか出てこない様な狂人)育ての母、兄弟とともに幼少期を過ごします。

ミス・ポジティブとでも言いたいような宇野千代ですが、小さい頃からポジティブだった訳ではありません。

 

千代は生まれつきとても色黒で、その肌の色について小さい時から父や家人から、

 

「そんなに色黒では嫁の貰い手はおるまい」

 

と言われて育ちます。

幼い頃の繊細な心を傷つけられて内向的な性格になった千代は、

 

「誰もお嫁に貰ってくれないなら一人で生きていくしかない」

 

と、一途に決め込んでしまいます。

女としての価値が無いと、言わば周りの呪詛によって決めつけてしまい、

化粧なんかにも興味を示さず、髪も適当に後ろで束ねていただけでした。

コンプレックスを刺激する鏡は大っ嫌いで、殆ど見ないと言う徹底ぶり。

 

 

しかし、千代が17歳になったある日、陽気な盆踊りの音を物憂げに浴室で聞いていたところ、何気なく湯気の濛々と立ち上った鏡を見ると、そこには可愛らしい妙齢の女の子が映っているのに気がつきました。

 

「誰?この可愛い子は誰?」

 

そこに映った娘が、湯気で曇ったガラスによって色が白く見える自分自身だと気づいた千代は、天と地がひっくり返る程の衝撃、言わば人生の大転換を迎えます。

急いで風呂から上がり、初めて顔におしろいを施した千代は、家中の家人に、

 

「見て!お化粧をしたらこんなに可愛い娘になったよ!」

 

と触れて回ったと言います。

この時に体験した人生の転換によって、「世の中は見ようによって変わる」と千代は思いました。ミス・ポジティブの誕生です。

 

若い時の千代は、モガ(モダンガール)と呼ばれて、大変男たちからもてはやされたとか。

 

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出典:http://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/n/naoyakoike/20100320/20100320162015.jpg

 

モガと呼ばれた頃の千代。

 

確かにおキレイだ。

ここからが凄いんですよ!

恋に目覚めた彼女は火の玉の如く人生を楽しみ始めます。

 

14才の時に父の勧めで嫁ぎます。

でも、嫁いだ先からはなんと10日で帰って来ます。

何故か?

旦那の弟に恋をしてしまったからです。

 

しかも弟は当時高校生!

今なら大スキャンダルですよね(笑)

高校生の元旦那の弟と同棲生活を始めます。旦那の弟の進学に伴うお金は、千代が色々な職について稼いだと言います。

 

こう言うけなげな所も彼女が憎めない一つの理由なのかな??

 

恋多き千代。

これで終わると思ってはいけません。

 

高校生だった元旦那の弟も立派に成長して職に就きます。

そこで元旦那の弟と正式に結婚。

旦那の赴任先である北海道に共に移り住みます。

 

元々文学少女だった千代は、ある雑誌社のコンクールに応募した作品で一等を取りました。

嬉しくなった千代は、喜びの余り東京まで原稿料を貰いに出かけます。

 

そこの会社にたまたま居合わせ出会ったのが、「人生劇場」で知られる当時若かりし作家、尾崎士郎

 

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出典:http://designroomrune.com/magome/a-o/ozaki/ozaki6_bigger.jpg

 

もうね、このシュッとした顔立ちと目に千代ちゃんやられちゃいます。(笑)

 

有ろうことか、北海道の旦那の事はその時スッと忘れてこのイケメン文士さんと東京で暮らし始めます(~_~;)

お~い!そらアカンやろ!!(笑)

 

今で言う二重結婚という事かな?不倫云々の次元でもありません。

 

考えて見て下さい。

千代が生きた当時は、まだ日本は封建主義が色濃く残る時代。

女は家庭を守るものと言う考えが当たり前の時代での事です。

あり得ない。

 

まぁ、尾崎とも後に別れてその後も結婚と離婚を繰り返すんですけどね(;^_^A

 

千代は後に語ります。

 

「私の一生はね、虫やからすと一緒なの。理屈が無いの。虫はね、自分の行きたい方へ地を這って行くし、からすは飛びたいときに空を飛ぶ。私も同じ。自分の好きな時に地を這い、好きな時に空を飛ぶ。たとえ人から何を言われようともね。」

 

はい、男の敵です(笑)

 

大体、女流作家ってなんでこうも奔放なんだろうか??

瀬戸内寂聴さんを始め、みんなおかしいです。(笑)

 

でも、その恋のパワーが原動力になって数々の作品を生み出している所なんかを見ると、女性の恋と創作活動には密接な関係がある様に思われますよね。

 

翻って、男の恋は創作に結びつかない事の方が多い。

中には生涯愛人を作り、その恋を原動力に絵を描いたピカソや、「舞姫」を書いた森鴎外の例もあるけどそれは稀で、男って基本恋愛から学ばないんやと思う。

アホやからね(笑)

 

宇野千代さんはどうよ?

 

その後結婚した画家・東郷青児との恋、生活での経験は「色ざんげ」として見事に作品に結実してるし、なんか、人生経験を余す所なく食いに食うてる気がする。

それが男のしょーちん。からするととても怖いんです。女性のその特有。(笑)

 

閑話休題

新しい尾崎との恋に燃え上がった千代にもある一つの心配事が有ったそうですよ。

それは、北海道の家に残してきた浸け置いたままの食器たち。

北国の寒さで、食器が割れてしまうのではないかと、それだけが気がかりだったようです…

 

 

旦那わぃ!!!( ;∀;)

 

 

旦那さんかわいそ。。(笑)

 

その後も数々の著名人と文化的な交流をしながら、時には恋に、時には創作に打ち込む千代。

文学だけではなく、雑誌「スタイル」の立ち上げ、着物のデザイン、大好きな桜の保護活動など、自分がこれだと思う様々な事に取り組みます。

まさに火の玉のような生き方です。

 

波瀾万丈の恋は、特に女性としては世間的に褒められたものではないかも知れませんが、非難するのは簡単。

 

見ようによると、その渡り鳥の様に自由で天真爛漫な生き方はどこか魅力的にも思えてきます。

とにかく、明るく恋に仕事に生きている宇野千代はどこか憎めない。

 

時代の空気もあるかもしれませんが、そこには、「一切人の悪口を言わない」「いつも前向きで一生懸命」というのが、バッシングだけされて終わる他の人とちがうのかな。

 

小話なんですが徹子の部屋にゲストとして出演した時は、

 

「あの人と寝たし、あの人とも寝た」

 

と語るので、黒柳徹子から

 

「あなたはまるでお昼寝でもするかのように誰とでも寝るのね」

 

と大笑いされたようですよ(笑)

いやぁ、ここまで来るとあっぱれね。

 

結婚離婚を4回も繰り返した千代は、最後は一人になってしまいますが後悔はしません。

 

「私は不幸に対してはなかなか凹まない自信がある。どんなところからでも、私流に幸福を見つける自信がある。私は勿論不幸は好きではない。しかし正確に言うと、自分を不幸だと思う事の方が、もっと好きではない。」

 

男性のしょーちん。からみれば恐ろしやな女性だけども、この不幸ばかりを嘆く時代。

火の玉女子の千代さんに明るく、”幸福を知る才能”を見習ってみたいともまた思うのでした。

 


作家 宇野千代 98年の青春

 

1分くらいの宇野千代の動画です。

なんか喋り方が天真爛漫で可愛らしく、男性が虜になるのもうなずける気が。

 

寂聴さんもそうやけど、余程したたかな恋をしている女傑なのに、なんでこんなほわぁ~っとした可愛らしさがあるんだろ。

でも、その文章はとても切れ味が鋭かったりする。

こわいっ!!(笑)

 

あなたはこんな無邪気で英知溢れる悪女たちから何を学びますか??(^^)

 

 

 

また、おこしやす つらら庵 ♪