日本画におけるスケッチの方法。 ~道具準備から描き方まで~
おこしやす つらら庵 ♪
お待たせしました!
昨日ご紹介できなかったスケッチの方法を今日は見てもらうよ~(^^)
今回は彼岸花(曼珠沙華)を例にして、その手順を追いたいと思います。
まず始めに、”日本画における” と敢えて注釈したのには訳が有ります。
普通のスケッチと違い、日本画制作の参考に用いる用途で描くスケッチは少し特徴的な性格を持っています。
日本画は油彩画と違い、実物を目の前にして描く事はあまりありません。
スケッチを基に制作する場合がほとんどですので、極端に言えば、そのモチーフの情報がふんだんに詰まった描き方をするのがコツです。
例えば、花びらの枚数は、葉の出方は、雄蕊の形と色はどうだ、などなど。
日本画のスケッチについて、詳しくは過去記事をご覧ください♪
はは。
結局この過去記事、紫陽花が途中でしおれたから頓挫しても~てるな(笑)
まっ、彼岸花も花やからいっしょやろ!(笑)この続きっちゅ~事で勘弁してください(;^_^A
では、早速始めましょう!
①道具の準備
まず、当たり前の事ですが屋外スケッチに行くに際して道具の準備をしなければなりません。以下の物は基本的なスケッチの道具です。参考にしてください(^^)
・鉛筆など
輪郭などを描くための筆記具です。
基本は2Bの鉛筆とカッターナイフさえあれば簡単なスケッチならできます。
ただ、鉛筆だけに限らずボールペン、シャーペン、時には矢立などもスケッチに使えます。
しょーちん。は矢立と和紙を好んでスケッチに用いています。日本画は線が命。
普段から筆に親しんでおくことでいざと言う時に力の入った細い線が引けるようになります。
でも、難易度は格段に上がるので、慣れないうちはスケッチブックに鉛筆で描くのがいいと思います。
・絵の具類
しょーちん。の携帯透明水彩絵の具。
きったね~(*_*;(笑)
この固形絵の具は水さえあれば、筆で表面を軽く撫でるだけで色が使えるので便利です。
絵の具の他には色鉛筆も有ります。
混色が出来ない分、実物に近い色を出す事が難しいですが絵の具よりも更に使いやすいのでお好みでどうぞ!
気分にもよりますしネ(^^)とにかく、色が付けばよいのです。
もちろん鉛筆とスケッチブックの二つがあれば最低限のスケッチは出来ますが、色を付ける作業はとても楽しく心弾むものです。
絵の上達も大切ですが、自分を飽きさせないように工夫する事も大事ですね( ˘ω˘)
・絵の具用の筆各種
絵の具の彩色用の筆です。
…なんとしょーちん。は今回この彩色用の筆を忘れてスケッチに飛び出してしまいました(;^_^A
アホです(笑)
でも、そのお陰(?)で、つらら庵に帰ってから彩色する事になったので、野外の写真を交えての解説よりも詳しく記事を作る事が出来そうです!怪我の功名!!
…さてさて、賢い皆さんは筆を忘れないように!(笑)
基本は中くらいの丸筆一本とぼかし用の丸筆の計2本あれば事足りますが、必要に応じて上記の写真のように広い面積を塗る平筆、細い線を塗るための面相筆なども有ると便利。
でも、しょーちん。は極力荷物を持ちたくないので基本彩色用とぼかし用の2本持ちです。
…今回は忘れたから0本持ち。。(笑)
・筆洗と水
これは絵の具を使う時だけ持っていきましょう。
右の黄色いのが筆を洗ったり水を含ませたりする筆洗。
左の白いのが水が入っている容器です。
この筆洗はしょーちん。愛用のもの。
確か百均やったよ~な。
マトリョーシカの様に3つの容器がコンパクトに収納&組み立てができるので、極力荷物を増やしたくない野外スケッチの必需品です。
これは確か画材屋で見つけた携帯用ボトル。
この薄さなのでかさ張らず、さっきの筆洗の中に収納する事も出来て便利!(^^)
「これだけで足りるの??」
とお思いでしょうが、軽い彩色なら意外といけちゃいます♪
・スケッチブック
と、いってもしょーちん。は筆でのスケッチですので自作の和紙スケッチブックを持参。
鉛筆をお使いの方は画材屋で売っているポピュラーな物でOK!
サイズなのですが、花の場合はそんなに大きい物必要ありませんが、それでもF6ぐらいの大きさがおすすめ。
初めて描く方には大きく感じるサイズですが、スケッチは実物より大きく描いた方が良いので少し大きく感じるぐらいのものがいいのです。
・その他
携帯用椅子です。
スケッチはじっくり腰を据えて描くもの。
足が痛くなったり腰が痛くなったりすると描く気力も失われます。
自分が快適に描けるように身の回りを固めましょう!
しょーちん。愛用のこの折り畳み椅子は登山用の携帯椅子。
少し値は張りましたが、とても軽く折り畳み傘と同サイズ、同重量のスグレモノ。
用意するのが難しければ、百均で売っている折り畳みパイプ椅子や、折り畳みウレタンレジャーマットがおすすめ。
特にウレタンレジャーマットは地べたに直接敷くので座った時安定しやすく、視線も低くなるので描きやすいですよ(^_-)-☆
…道具の準備は以上です。
それでは、いよいよ野外へ飛び出すぞ~~!!!((((oノ´3`)ノ
②スケッチのモチーフ探しについて
今回しょーちん。は彼岸花を描く事に決めて出発しているので、彼岸花が咲いていそうな所をハンティングします。
描くものがあらかじめ決まっている場合はそれでいいのですが、当てもなく道具だけをもって描くものを実際足を運んで探すのも楽しいですよ♪
思わぬ発見があるのもそういう時です(^^)
彼岸花は墓場に良く咲いていますが、できるだけ気持ちの良い所でスケッチしたいもの。(笑)
墓場以外で良く咲いている川岸を狙ってみたいと思います!
予想的中!
というか、毎年ここには彼岸花が咲いているのを実は知ってたんですけどね(笑)
頭の中に季節季節に応じた花がどこに咲くかを記憶していると見つけやすいです。
花が普段から好きな人は自然に記憶してるでしょうけどね( ˘ω˘)
③モチーフ選びについて
あちこちに咲いています!
しかし田舎だこと…(;´∀`)
あっ!!見て見て!アゲハが蜜を吸ってる~!ヾ(≧▽≦)ノ
分かるかな??
…ところで、スケッチするモチーフ選びのポイントは3つあります。
一つ目は、形が良く綺麗な物を選ぶこと。
当たり前の事ですが、見つけたらすぐに描き出すのではなく、周辺を歩き回って少しでも綺麗で絵になりそうなものを探しましょう!
これはまだ蕾ですね。
蕾も絵の大切な脇役、準主役なのでスケッチするのですが、まずは主役たる盛りの花を描きたい所。。
ここら辺の物はもう盛りを過ぎて色が褪せてしまっているのでNG。
ここら辺のが綺麗なのでここの花を描きたいと思います。
「君に決めたっ!!」(≧◇≦)
優柔不断は女の子にモテませんしネ。。(笑)
決めたら2つ目のポイント、距離感です。
花の場合は、細部をよく観察しながら描きたいので、少し近い位置に陣取ります。
逆に、建造物や風景などはあまり近すぎると画面のおさまりが悪くなります。
このように、モチーフによって距離感を考えるのが大事。
人間関係もそやなぁ。。(-_-メ)(笑)
3つ目のポイントは、長時間描ける場所かどうか。
大体1時間は掛かるスケッチ。
その時間描くに堪えれる環境かどうかを考えておかないと、描き始めたは良いが、きずいたら日射病になっていたでは大ごとです。
特に、絵を描き出すと集中して周りの環境が目に入らなくなるので、車の進路になっていないか、極度に暑くないかなど、周りの安全を確保してください。
決まったらいよいよ本題のスケッチです(^^)
④描き出し
描く順番はどこからでも良いのですが、基本はモチーフの中心にあたる部分から描くのがコツ。
スケッチブック中心からモチーフの中心を描くと、描いて行くうちに左にズレたとか右が収まらないとかであたふたせずに済みます。
特に彼岸花の様に細かく複雑なモチーフは、中心、手前から描くのがコツ。
作例では寄り集まった花の、一番手前の花から。
ここでもう一つ大事な事は、モチーフと同寸、欲を言えば1.5倍の大きさで描く事。
慣れないとどうしても真っ白なスケッチブックを持て余して小さく描いてしまいがちですが、大きく描く事を意識すると線も活き活きした物になり、細かい部分も描き込みやすいです。
しょーちん。は筆でのスケッチなので消しゴムは一切使いません。
鉛筆の場合は消しゴムを使う事が出来ますが、思い切りよく線を引くために、是非消しゴムを使わず一気に描いてみて下さい!( ˘ω˘)
⑤描き進め方
彼岸花は複数の花の集まりで一つの大きな花になっています。描いている最中も、花の構造を頭で理解しながら描きます。
中心手前の花が描けたら次は既に描けた花とのバランスを取って左右を描きます。
このように、常にこれまで描いてきた部分と比較しながら描く事。
描いている最中は、たとえ細かい部分を描いていても全体を見て比較しながら描いています。
多少ズレても気にせず進めましょう!
細かい雄蕊、雌蕊も手を抜かず丁寧に。
時にはこうして筆を止めて、実物の花との比較をします。
一つ花が描けました!(^^)
この花の特徴である花弁の翻りや細くしなやかな蕊等がしっかり描けていると、
”らしさ” が出ますよ。
ここで、「描けた~!!」と道具をしまって帰ってはいけません。
一つの花を理解するにはいくつか描かないと手と心に刻まれません。
日本画のスケッチは資料と先ほどいいました。
スケッチブック上でのおさまりは全く気にせず、余白に違う彼岸花の姿をどんどん描き込んでいきます。
根を詰めて書いているとお尻や足が痛くなってしびれてきますので、時々立ち上がって伸びをしたり、歩いたりする。
距離を取って自分の絵を見ると冷静にもなれます。
さっ、続けるゾイ!!<(`^´)>
半開の花も。
花を理解する為に時には葉だけ、蕊だけをクローズアップして描く事も有ります。
要するに、自分が納得できるまで描けば良いのですが。。
描くスぺースがなくなって来たら次のページへ。
しょーちん。はこの日、大判のスケッチブック3枚に渡って画面いっぱいに描きました。
ほんとはこの後色を付けるはずだったのですが、あいにく筆を忘れたので仕方なくつらら庵に帰庵。。(笑)
バリエーションを意識して色々な姿をとらえています。
日本画を描く時は、このスケッチを基に新たに構図を構築していきます。
なので、材料はあればあるだけよし。
画家を目指すあなたは是非日ごろからのスケッチを!!(しょーちん。は最近出来てまへんが。。(笑))
色も実物を見ながら付けた方がホントは良いんですよ!!(;´∀`)
でも、今回はそういう事情があったのでここまで!
次回は家で、写真を参考に彩色をしていきたいと思います。
長い記事をお読み下さりありがとうございました~☆
この記事が絵を志す方に少しでも力になったなら幸甚に思います。
最後に野外スケッチの要点をまとめておきましたので、これだけは覚えてってください!
⑥これだけは覚えてって~!
・モチーフは同寸か一回り大きく活き活きと描く
・形の良い物を選び、できるだけ豊富なバリエーションを書き溜める
・アリの目になり、細部まで理解しながら描く
・道具忘れの無いようにする。。。(笑)
~次回・彩色編につづく~
また、おこしやす つらら庵 ♪